ドイツ販路開拓支援事業 ドイツ商談ミッション 実施報告

令和7年11月17日(月)から21日(金)までの日程で、ドイツに渡航し、地域企業の欧州市場参入機会の創出を目指し、航空宇宙分野のトップ企業や展示会を訪問しました。 

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参加企業と訪問先概要 

本ミッションには、スターエンジニアリング(株)、(株)あけぼの印刷社が参加し、現地で(株)菊池精機と合流しました。HITSからは皆川と日向の2名が参加しました。 

航空宇宙産業の最前線を視察

Airbus Hamburg工場見学(11/17) 

Airbusの主要拠点の一つであるハンブルク工場を訪問しました。
A320シリーズの最終組立ラインを中心に、80以上の工程からなる製造現場を視察し、敷地には構造部品や製造中の機体が密集しており、生産量の多さと今後の需要の高さがうかがえ、航空産業が地域経済を支える重要な産業であることを再認識しました。 

見学後には、菊池精機と協力関係を持つひびき精機とのネットワーキングを実施しました。
HITSとしては、今後の地域企業の参入機会を模索したいと考えています。 

Space Tech Expo Europe 2025参加(11/18)

欧州最大級の宇宙産業展示会を訪問し、欧州大手・日本企業が700社以上が出展する中、市内企業の菊池精機が3年連続で出展し、多くの来場者を集め、複数の具体的な商談を行いました。
展示会終了後には懇親会を実施し、地域企業との連携について意見交換を行いました。 

productronica 2025参加(11/19) 

電子機器製造に関する展示会を訪問し、主に茨城県が共同出展を行っているブースを視察しました。
茨城県では英語版の企業案内や動画の作成など出展企業の展示支援が行われており、ブースへの訪問者も多くみられました。 

その後行った出展企業との懇親会において、これまでドイツに出展してきた企業と初めて出展した企業との話の中で、積極的な海外販路拡大の重要性を再確認しました。 

シュツットガルト現地企業訪問(11/20)

シュツットガルトでは、革新的な技術を持つ3社の現地企業を訪問しました。 

 ・ASVIN GmbH: AIを活用したリスクモデルによるサイバーセキュリティ予測を強みとする企業です。AIによるシミュレーションで攻撃・防御の最適化を図る新しいモデルを構築している点は、デジタル化が進む現代において極めて重要だと感じました 

TAO Trans-Atmospheric Operations GmbH: 成層圏通信プラットフォームの開発を目指す企業で、太陽光技術と軽量構造体を強みとする。同行したスターエンジニアリングからプレゼンテーションを行い、積極的な質問を受けていました。 

PEROSOL: ペロブスカイト太陽電池のプロトタイプ開発を行う企業で、宇宙環境対応技術を研究。創業者は基礎研究を応用し、DLRやESAの支援を受け、衛星や成層圏実験を進めている。地球温暖化対策を目的に、ペロブスカイト太陽電池で発電し外部エネルギー供給なしで軌道制御を可能にするサンシェード構想を推進していることも印象的でした。

これら3社への訪問を通じて、シュツットガルト地域の企業がAI、宇宙、持続可能なエネルギーといった最先端のテーマに積極果敢に取り組み、フラウンホーファー(欧州最大の科学技術分野における応用研究機関)やESA(欧州宇宙機関)といった公的機関との強固なネットワークを築いていることが強く確認できました。
特に、AIや宇宙技術は、地域の企業が目指す事業転換や高付加価値化に直結する分野であり、これらの先進技術や国際連携の姿勢から、欧州市場への参入や共同研究の機会を探る上での多くの知見と示唆を得ることができました。 

TAO社訪問時に、スターエンジニアリングの事業であるバイオトイレに関心が示されたように、日本の地域企業が持つ独自の技術が、ドイツのスタートアップ企業の革新的なソリューションに組み込まれる可能性も感じられ、今後の具体的な連携検討を進める重要なステップとなりました。 

BW-i(バーデン=ヴュルテンベルク州経済振興機構)との意見交換(11/21) 

HITSの連携協定締結先であるBW-iと意見交換を行いました。
BW州の概要や宇宙産業の状況、bw-iの訪日計画の説明を受けました。日本は第2の貿易相手で、州内に日本企業の活動・大学連携が広がっています。 

また、BW-i は2026年2~3月に日本訪問を計画しており、日立ではBW州の訪問を喜んで受けれ、企業訪問などの調整を行うこととしました。 

HITSからは、日立市の次世代未来都市共創プロジェクトを紹介し、「自動運転」や「オンライン診断」について関心を持たれていました。 

所感と今後の取り組み 

今回の訪問では、宇宙産業関連企業を訪問したことから、技術開発や製品開発に積極的なスタートアップや事業規模の小さい企業が多いことを確認でき、このような企業は日立地域の企業との交流意欲も強いことが感じられました。
参加した企業の事業姿勢や方針との親和性も高いことから、今後、宇宙産業をテーマとした産業交流を進めることで、欧州市場への参入機会を得られるものと考えられます。 

一方で、欧州市場への参入にあたっては、精密加工をはじめとする部品供給だけでなく、複数企業が連携し、キューブサットのパッケージ化(筐体、電源、制御など)を共同で進めることが重要であると認識しました。
今回の訪問で得られた交流を活かし、宇宙産業ネットワークを構築し、複数企業が協力して海外販路開拓を実施する体制を検討していく必要があると考えています。 

また、2026年2~3月に計画されているBW-iによる訪日については、参加企業と地域企業との交流機会を創出する取組みを進めていきます。 

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